実際ほとんどの患者は、外界から無関係な情報がものすごい勢いでく重要な領域だ。
灰白質の刈りこみは、思春期の脳に起こる自然なプロセスだが、これと統合失調症との関係を匂わせる証拠も見つかっている。
前に述べたように、思春期のあいだに脳の灰白質は15パーセントほど失われる、神経細胞の細胞体や樹状突起が淘汰されるのである。
ところが統合失調症になると、灰白質が25パーセントも減ってしまう。
もしかすると統合失調症とは、遺伝なり環境なりの影響を受けて、刈りこみプロセスが暴走した結果なのだろうか?NIHのJ・Lと、UCLAのP・Tはその可能性を考えている。
「変化が激しくて、あちこちで動きがあるときは、何かが壊れたり、おかしくなったりするものよ」とLは言う。
「脳の組織が大量に失われる事実にしても、それは病気の原因なのか、あるいは症状なのか?シナプスの刈りこみを命じる信号は、もともと機能不全で発生したものかもしれない。
あるいは不正確な配線を排除して、脳を守ろうとする働きとも考えられる」P大学の神経科学者であるD・Lは、統合失調症を分子レベルで調べている。
この病気の原因を探った過去の文献をあらためて読みなおしたLは、ほかの研究者と同様、やはり前頭前野が関係しているという思いを強くしている。
ワシントンにあるNIHの奥では、身体成熟期に増えはじめる別の精神障害に関して、その徴候を見つけようという研究が行なわれている。
その精神障害とは、うつ病と不安障害である。
何百人というティーンエイジャーの脳をスキャンで観察しているのは、研究者のD・Pだ。
彼は、底なしの憂うつな気分や、何も手につかない不安が、いつどのように起こるのか正確にとらえようとしている。
社会恐怖症や各種パニック障害(やはり身体成熟期に発症しやすく、これといった理由がないのに鼓動が激しくなり、手が汗びっしょりになり、呼吸ができずに死ぬのではないかと感じる)も含まれる。
統合失調症は長い思春期のどこで始まってもおかしくないが、うつ病と不安障害は、私たちが身体成熟としてとらえる生物学的な瞬間と密接に結びついている。
たとえば重いうつ病は、子どもの年齢よりも、身体成熟がどこまで進んでいるかで発症率が変わってくる。
その理由を確かめるために、Pは思春期と前思春期の子どもをfMRIにかけた。
被験者にはうつ病や不安障害だけでなく、健康でまったく問題のない子もいた。
そんな子どもたちに、幸せそうな顔、おびえた顔、怒った顔の画像を見せて、脳の反応を調べたのである。
さらに比較のために、成人グループでもまったく同じ手順で実験を行なった。
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